I型プランの話

住空間の中でキッチンほど機器が集中している場所はありません。そして使用頻度も高く耐久性も求められます。各物件ごとにデザインや機能も多種多様の中から最適な機器をセレクトしています。と言っても現実的には実績と信頼がある定番の機器をセレクトする事が多いですかね。

カラン(水栓金具)は一番酷使されるキッチン機器でしょう。それだけに意匠よりも機能や使い勝手を優先した方がいいかもしれません。でもやっぱりキレイなカランを使いたいところですね。

大きく分ければ国産か外国製かです。機能の国産、意匠の外国製だったのですが、最近は国産もキレイだし外国製も日本で生産または日本仕様に調整している事が多いので両者にそんなに違いはなくなってきました。そんな中から美しくて使いやすく丈夫な定番のカランをセレクトしています。

近年は浄水器が必需品になりつつあります。最初から計画しておけば邪魔なホースなどが見えないキレイな納めができます。

最近はカランの内部で浄水するタイプがトレンドです。小型カートリッジの寿命が短い事が欠点ですが交換が簡単なので扱いやすいのが特徴です。従来からあるビルトインタイプはカートリッジの交換が面倒なので、何年も交換しないで使っているなんて事も・・。すぐに交換しましょう。

キッチンメーカーの既製品を含め、日本ではステンレスシンクが圧倒的なシェアでしょう。実際、スタジオダックスでも意匠を優先する場合を除いてステンレスをお薦めしています。メンテナンスが楽で適度の弾力があるので食器などを誤って落としても割れにくいなどが特徴です。

そしてステンレスシンクは特注で作る事ができるので、お客さまそれぞれの料理スタイルにあわせた大きさや形にデザインする事ができますよ。(Photo:Craft)

 

ステンレス以外のシンクと言えばホーローか陶器くらいしか選択肢はないですね。樹脂製シンクなどもあるけど、長所を見つける事ができないのでスタジオダックスでは使った事がありません。

ホーローや陶器のシンクはかわいくカントリー風に使ったり、シックにコンテンポラリー風に使ったりと味わいのあるキッチンになりますね。でもこれらは堅い素材なので、誤って食器を落としたら割れたりシンク自身も欠けちゃったりしてしまいます。だから意匠優先でセレクトする場合がほとんどですね。(Photo:和泉M社)

食器洗浄機をビルトインするケースがとても多くなりました。特に働く女性(主婦)の夢の様ですね。外国製と国産品とで特徴が大きく違うので、自分のライフスタイルに合っている方をセレクトしましょう。

外国製は容量が大きく頑丈なので大家族とか来客が多い家庭など、たくさんの食器を一気に洗うスタイルには最適です。しかし運転時間が長いので夜に一日分をまとめて洗う様な使い方をしないと効率がとっても悪いのが欠点です。でも、見た目のカッコよさはやっぱり外国製ですね。(Photo:碑文谷O邸)

 

 

国産品は少量で効率良く洗えます。さすが国産で日本人の食生活にはちょうど良い運転と機能が搭載されていますね。引き出して上から食器を入れるタイプが使いやすく、取り付けたお客さまの評判は非常に良いです。しかし大きな物は洗えないし見た目や造りが安っぽく、とっても格好悪いことが最大の欠点ですねぇ・・。

節水と言う側面でも食器洗浄機の役割は大きいですね。(Photo:立川T邸)

コンロも機能や意匠で多種多様な機器があります。それだけに使う人の料理スタイルに合わせたセレクトが必要という事になりますね。

大きく分けるとガスか電気かです。そしてちょっと前までは国産か外国製かも選択肢だったのですが、法改正によって外国製のガスコンロは選択できなくなってしまいました。電気または業務用は外国製でも使えますが一般家庭では使えないものばかりです。詳しくは後ほど。(Photo:鷺沼N邸)

ガスコンロは瞬間的な火力が大きな特徴です。後述のIHクッキングヒーターも瞬間的な火力を得られるのですが、火加減を瞬時に操れるのはやっぱりガスコンロですね。

近年のガスコンロは火加減をコンピュータが自動制御したり安全面も強化された多機能マシーンになっちゃってます。逆に多機能すぎてほとんど使いこなせないムダな機能の多い高額商品になってしまいましたね。

ガラストップやゴトクの丸洗いなどコンロはキッチンで一番汚れる部分だから掃除のしやすさもセレクトのポイントです。(Photo:川口M邸)

ひと昔前まで電気コンロ(ヒーター)は日本の食生活では使えないモノばかりでした。ところがIHクッキングヒーターの出現で一気に使えるモノになったと同時に主流になる勢いです。火がないので安全で空気も汚さないしメンテナンスも楽で瞬間的な火力もあります。近年はオールメタル対応なのでどんな素材の鍋やフライパンでも使えます。(土鍋はムリ)そしてさすが電気の高機能ぶりですね。

ただし、リフォームの場合は注意が必要ですよ。専用回路で200Vの電気が必要なので現状の電気容量などによっては使えない場合もあるのです。(Photo:狛江T邸)

料理が本当に好きなら業務用ガスコンロやテーブルコンロも選択肢に入ります。業務用だから火力は強いし余計な機能がないシンプルな機能美が魅力です。ステンレスの筐体や鋳物のごついゴトクは使い込むほどに味が出てきて乱暴に扱っても大丈夫です。

ただし、あくまで業務用ですから一般住宅に設置するには注意が必要ですよ。火力が強いので周りを耐火構造にし給排気計画を熟慮する事。そしてガスの消費が大きいのでガス配管を太くする必要が出てくる場合があります。カッコイイからと安易に選択するモノではありません。(Photo:Craft)

家庭用ガスコンロに関する法律が変わり2009年末から安全センサー(Siセンサー)が全口に付いていないガスコンロは日本では製造も販売も禁止になりました。安全の為に必要な法改正っぽいけど、高火力の業務用などを一般家庭に設置する事への禁止事項はない穴だらけの法律だったりします。

我々にとって大打撃なのはこの法改正のおかげで家庭用の外国製ガスコンロのほぼ100%が今後は日本で使えない事になっちゃった事です。人気のあったロジェールやアスコ、マジックシェフやガゲナウなどの販売が2010年9月現在、完全にストップしています。日本向けにSiセンサーを搭載すれば販売再開ですが、小さなマーケットの日本向けに改造してくる海外メーカーはほぼ皆無と考えられます。だから実質は外国製ガスコンロの閉め出しとなり「ガスコンロの鎖国」が始まりました・・。

(Photo:北浦和K邸)

法改正前のSiセンサーがついていない機器を今後も使い続ける事は問題ないし修理なども可能なので安心してお使い下さい。しかし完全に壊れた時などには国産品に交換するしか選択肢はなくなりました・・残念。

キッチンのスタイルやテイストにこだわりのある方々には暗黒の時代ですね。

最近は整流板を使って効率良く強力に排気するタイプが一般的になってきました。見た目もシンプルなので最近はこのタイプばかり使っていますね。最近多くなってきたファンに油が付着しにくいメンテナンスフリータイプがお薦めですよ。

昔は意匠優先でオリジナルのフードを作ったり輸入品のマントルフード型などを使っていましたが、実はあまり吸ってくれなかったり掃除が面倒だったりします。キッチンで一番汚れる部分ですから最近は機能重視で選んでいますね。その他にもIHヒーター専用タイプもあります。(Photo:Craft)

(Photo:川口M邸)

日本人の食生活ではあまり使われないオーブン。お菓子やパンを作られるお客さまなどはすでに置き型のオーブンを持っているケースが多くそれらを収納する場所をプランする事がほとんどです。使い慣れたオーブンをわざわざ買い替える必要はなく古くなったので新しくとか電気からガスへなどタイミングが合った時に設置します。狭いキッチンなどでは電子レンジとオーブンがいっしょになったモノを選択したり、それぞれの家庭の食生活とご予算をよく考えてセレクトしたいところですね。(Photo:練馬S邸)

 

注:この写真のオーブンレンジ(アスコ製)も法改正により2010年9月現在販売されていません。詳しくは「コンロの話」をご覧下さい。

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