2列プランとは、I型プランを2列に並べる事でI型プランの欠点であるワークトップの狭さを解消し動線も最小限で済むレイアウトです。またL型プランのようなコーナーのデッドスペースもないので空間的にも無駄が少なく収納力も高いとても優れたキッチンレイアウトです。

クローズドキッチンでもよし。オープンキッチンでもよし。狭い空間を有効に使えるプランだからスタジオダックスではこのレイアウトが一番多いですね。二人以上でキッチンに入ってもそれぞれの作業動線がぶつかりにくく干渉しにくいので、皆でいっしょに料理を楽しめますよ。

メーカー既製キッチンを使う前提でスタートした計画だったので、I型やL型でいろいろプランしていました。でもこの狭い空間ではどうしてもいいプランにはならないですねぇ。

食洗機をビルトインする事も必須だったのでどうしても広い間口が必要です。そうなると冷蔵庫の位置なども含めてコンパクトには納まらない。そんな時には2列プランなんですが、メーカー既製キッチンには2列プランが無いんですよね・・。

そこで既製のシンクテーブルを利用した2列プランのオーダーキッチンを提案します。あえてキレイにまとめないで適度にゴチャゴチャ見せる立体構成は、オープンキッチンだけど気負わずにラフに扱える事をねらっています。

トビラを一切付けない完全なオープン収納にする事でコストを既製品レベルまで下げました。スタジオダックス得意のオープン収納ですね。一般的にはあまり受け入れられない仕様でしょうが、実はトビラってけっこう調理中にジャマなんですよね。調理に必要なアイテムなんて限られているからそれらは手をのばせば届く範囲にただ置いてある方が機能的だったりします。すべてが見えれば不要な物も増えないのでエコでシンプルに暮らせると思うんだけど・・どう？

リビングダイニングと一体になった家族が集まる「キッチンコーナー」をプランします。一般的には壁際にI型プランをレイアウトするのが定番でしょうがそれではあまりにも俗っぽくて情けない。

そこで2列プランを基本に対面カウンター付きの贅沢なアイランドスタイルを提案。2列プランだから広いアイランドをプランしてもコンパクトに納まっています。可動ワゴンや食洗機もビルトイン。キッチンの収納もすべてこのアイランドでまかなえるので圧迫感のある吊り戸棚のない開放的な空間に仕上がりましたよ。

日本の住宅設計ではどうしてもキッチンを隔離する傾向にありますね。主婦の聖地化なのか汚れを隠す為なのか・・理由は定かではありませんが多分「慣習」なんでしょう。

家族みなが集い来客者でも抵抗無く入れるキッチン、部屋全体のインテリアにさり気なく溶け込んだ敷居の低いキッチンの方がなんだか楽しそうだと思いません？

高齢でかつ忙しい日々を送られている施主さまの為のオープンで掃除しやすく整理もしやすい「無精キッチン」です。正確には「掃除しやすい」と言うよりもあんまり掃除しなくても無垢だからキズやヨゴレが目立たないキッチンです（苦笑）

そんなコンセプトだから狭い範囲でなんでも揃う収納力たっぷりのコンパクトキッチンには2列プランがピッタリです。

安全で掃除も楽なIHクッキングヒーターをセレクトしましたが操作になかなか慣れないとの事。「昔ながらのガステーブルが一番楽だねェ」だって・・。ユニバーサルデザインが主流の昨今、本当に簡単便利で優しい世の中になっているんでしょうか？そんな疑問と反省をもって施主さまそれぞれのオンリーワンをもっと追求しないといけませんね。

狭い空間でも機能的で余裕のあるキッチンが実現する2列プランですが、キッチンメーカーの既製品にはこのプランはほとんど存在しません。なんでだろう？

だから2列プランはフルオーダーキッチンの特権だったりする訳です。

その特権を生かしたフルオーダーキッチン。25角のモザイクタイルが素朴でおしゃれですね。タイルトップは目地によごれが付き易い欠点がありますが、最近はハイテク目地で汚れにくくなっています。比較的安く、熱いものを直接置けたり機能も優秀ですよ。

カントリースタイルで多いタイルトップですが、日本のキレイキレイカントリーは間違っています。本来のカントリーキッチンは乱暴に扱っても大丈夫と言う機能優先のキッチンなのです。目地の汚れも気になるのは最初だけ。すぐに慣れます（笑）

自分の感性に合った意匠や素材を選んだり、機能も自由にプランできる事がオーダーキッチンのメリットですね。

毎日忙しい施主さまだから「この部屋では軽い朝食や酒の肴ができればいいの」

そこで生まれたのがこのコンパクトキッチンです。キッチンと言うよりバーコーナーと言った方が正解かもしれませんね。

収納力を確保しつつ食洗機やIHクッキングヒーターなどの最新機器をビルトイン。コンパクトに機能をギュっと凝縮した結果が2列プランでした。

リビングの延長として配置されたパインの無垢と古レンガで構成された究極のコンパクトキッチンは、用途を限定した割り切りから生まれました。