S's room

奥行きのある一般的なマンション空間では外部に接した明るい窓際にリビングスペース、そして部屋の奥に寝室をレイアウトしがちですが、ここではレイアウトを逆転させています。気持ちのよい目覚めの為にあえて窓際の特等席に寝室をレイアウト。そして部屋の奥で三方囲まれた閉鎖空間がリビングスペースです。

子供のいるご家庭は別ですが、夫婦だけの大人の部屋では「動」の活動はダイニングキッチンで十分。リビングはテレビを見たり本を読んだり、ソファでうたた寝したりする閉鎖的な「静」の空間の方が落ち着くものです。そうは言っても、光や風はやっぱり感じていたいもの。そこでチェッカーガラス入りのフレンチ窓で光を取り込み、開放すれば風が流れ空間が広がります。日本の標準的な間取りはリビング中心で考えがちですが、ライフスタイルによってはそれらを否定する事も必要かもしれませんよ。

そんな特等席にレイアウトされた寝室は開放的で光があふれています。クローゼットもないシンプルな寝室はダイニングスペースからまったく遮るものがないフルオープン。夫婦だけの部屋なんだから壁なんか必要ありません。でもね、たまにはケンカもするよ。お互いの活動時間が違う日もあるよ。お客さんも来るよ。そんな時には引き戸を閉めて閉鎖もできます。狭い部屋ならではのワンルームの発想で部屋を広く使え、広く感じさせます。

玄関近くにウォークインクローゼットをプラン。洋服や雑多なモノをすべて一ケ所にまとめた事も狭い部屋を広く使えるテクニックですね。

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