若い美容師のご主人と、もっと若い元美容師の奥さんは、とある休日の散歩中にこの古い公団団地の一室に出会いました。内装はボロボロで竣工当時のままの間取りでしたが、古い物が大好きでサッシュや金物など古い団地ならではのシブい空間に惚れこみました。
自分達でペンキを塗ったりタイルを貼ったりして「DIYで作っていけばお金もかけないでイイ空間になりそう」と即決。ただ、床だけは自分達では難しそうだし、それをやらないと生活もできそうに無い事からパインの無垢床だけの工事をスタジオダックスに依頼されました。

現調に伺うと気持ちの良い風と光が入り、建物まわりの緑が心地よく目に飛び込んできます。床のパインフローリング工事だけの依頼だったけど、閉鎖的な昔の間取りのままで床だけを張り替えるにはちょっともったいない気がする・・。

そこで床工事に加えて間仕切りの解体と洗面台とランドリースペースの新設。キッチンのバックカウンターと冷蔵庫置き場新設を提案します。当然、床工事分の予算しかないので、スタジオダックスは造作と設備工事だけ。ペンキやタイルなどの仕上げはすべてSさんにDIYでやって頂く事になりました。

実はこれだけ無茶な提案をするには訳があるのだ。たまたま同時期に我々が昔つくったお部屋の改装工事があって、その工事で発生するまだ使えるけど廃棄してしまうにはもったいないモノがリサイクルできるのだ。古材や無垢材の棚、洗面ボールやカランなど、いい具合にアンティークになっているモノばかりですよ。
それらをタダ同然で提供できるグッドタイミング!運がいいねぇ。

キッチンは既存のまま。小さなプロペラファンや瞬間湯沸かし器なども団地購入時のままです。そこにリサイクルしたオープン棚やリサイクルした古材を使ったバックカウンターなどを新規造作。そのバックカウンターにはオーブンや電子レンジなどを収納してキッチン機能の充実と新しいイメージを演出します。

リサイクルやDIYのアドバイス、簡単な平面図面だけで進行する、ほとんど現場合わせの手づくりリフォームは本当に楽しいですねぇ。

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