店舗、特にサロンなどは意匠以上にお客様が快適にすごせる事、スタッフの作業性などが重要になりますね。だから普段の住空間デザインとは少し考え方を変えなければいけません。でもやっぱりスタジオダックスらしさは忘れてはいけないのだ。

珪藻土にスケルトン天井、パイン無垢の造作や古材などスタジオダックス定番の真っ白なサロンになりました。当初は土足歩行も可能な堅木の無垢フローリングにしてもっと家庭的なイメージを計画していたのですが、各種染料や薬品などサロンにかかせない汚れや髪の毛の処理などメンテナンス面を考慮して400角の磁器タイル床に落ち着きます。普段の住空間デザインでは絶対使わないメラミン化粧板造作などもメンテナンス、予算、意匠のバランスからの選択です。

光の明暗を意識しています。セット面は明るく機能的に、シャンプーは暗く落ち着く空間に。ワンルームを光で間仕切る事で空間の高級感と広がりを演出しています。

最近のサロンはカラーリングの比重が高くなっているので、より自然な発色の照明計画が必要でしょう。しかし色の感覚は人それぞれかなり違っているので照明計画に標準や正解は存在しません。だからサロンオーナーの好みの発色をベースにするしかないんですね。今回は白熱灯、ダイクロハロゲンを中心とした暖かみのある発色の構成で、セット面のみ温白色のFHT（蛍光灯）ミックスで高照度かつ自然な光色空間をデザインしています。

サロンの場合、他の業種に比べて熱を発生する要素が多いので余裕のある空調計画が必要です。また、お客様の滞在時間も長いので柔らかく自然な空調をデザインしています。
今回は天井も高いので約70平米に計10馬力のエアコンを設置し、それぞれお客様に直接風が当たらないデザインを施しています。給排気計画も合わせてサロン空間全体に空気の流れを意識しています。

サロンの命である給排水設備。思い切って床を上げ、排水勾配をしっかり確保します。サロン用の循環給水給湯で安定した出湯を実現。
その他にも重歩行対応の床下補強など、目に見えない部分にも重点をおいています。これらはすべてお客様が快適にすごして頂く為のデザインです。

（おわり）
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場所：東京都世田谷区、店舗用テナント1階部分

規模：約70平米全面内装工事
ファサード造作工事
サインデザイン、施工
グリーンコーディネート
音響計画、施工

床：400角磁器タイル

壁：珪藻土左官仕上げ

天井：珪藻土左官仕上げ、一部スケルトンAEP塗装

その他：パイン無垢造作家具
メラミン化粧板造作家具

美容機器：施主支給

設計・施工：スタジオダックス
Photo：SIGMA SD10/10-20mm EX DC